子供の頃は遠い未来と感じた21世紀がやってきました。
科学の進歩による技術と産業の発展、貧困の克服、世界平和の実現、個人の能力が限りなく発揮され幸福を手に入れることが可能な21世紀の社会を漠然と想像し夢見た頃がありました。
そして先進国は、基本的には貧困と飢餓を克服し、平和を達成しました。ある意味では、想像と夢は実現しています。
一方、前世紀には誰もが予期しなかった新たな問題と危機に人類は直面しています。
先進国での技術革新による生産性の飛躍的向上が発展途上国との経済的較差をさらに拡げています。情報技術の革新は世界に情報の密度と速度において革命的な高度化をもたらしました。
進行するグローバリゼーションの中で、イデオロギー対立による東西冷戦の終結から10余年を経て、「文化・宗教の衝突」による新たな対立と危機が生まれています。
近年の技術革新とそれによる経済の飛躍的発展がもたらしたもう一つの問題と危機。
それが環境問題です。
地球レベルでは、資源の枯渇と温暖化による気象変動・自然生態系破壊の危機が叫ばれています。
日本は20世紀後半に、世界の中で人類史上稀に見る高度な技術革新と経済発展を遂げました。その結果
、国民は一定の福祉を享受しています。
しかし、その間先送りしてきた矛盾が、長期の経済低迷だけでなく、我国固有の環境問題という形で世界的にも特徴的な現れ方をしている、あるいはして来るのではないかと私は認識しています。 |